top of page

PT APM Leaf Springs Indonesia — 関連会社間の不動産賃貸に対するPPh Final第4条第2項課税修正を税務裁判所が全面取消

  • 11 時間前
  • 読了時間: 4分

本件では、PT APM Leaf Springs Indonesia が関連会社である PT APM Auto Components Indonesia から賃借していた不動産について、税務当局が「賃料が適正価格より低い」と判断し、移転価格的な観点から賃料を再評価しました。

その結果、税務当局は、追加認定された賃料差額をもとに、2019年3月課税期間の不動産賃貸に対するPPh Final第4条第2項について、Rp20,047,747.00 の課税対象修正を実施しました。

しかし、税務裁判所(判決番号:PUT-002149.25/2025/PP/M.XVA)は、税務当局による賃料再評価(primary adjustment)自体を認めず、それに基づくPPh Final第4条第2項の修正(secondary adjustment)も成立しないとして、納税者側の主張を全面的に認容しました。

その結果、税務当局による追徴税額および行政制裁はすべて取り消され、未払税額は Rp0.00(ゼロ)と判断されています。

本件は、関連会社間の不動産賃貸、移転価格、PPh Final第4条第2項の関係を考える上で、多くの日系企業にとって参考となる重要事例といえます。


事案の概要

控訴申立人であるPT APM Leaf Springs Indonesiaは、その株主であるPT APM Auto Components Indonesia(議決権の25%保有)が所有する不動産をカラワン県チアンペル・クタメカール所在の工場敷地内で賃借していました。税務当局は、両社間の特殊関係(所得税法第18条第4項a号)を根拠として、支払賃料の妥当性を独立企業間価格原則に基づき再評価し、賃借費用に対してマイナス修正(Primary Adjustment)を行いました。本件PPh Final第4条第2項の修正はそのSecondary Adjustmentとして生じたものです。


当事者間の主張の対立

被控訴人(税務当局)の主張

税務調査の結果、以下の事実が確認されたとして修正を主張しました。

  • 控訴申立人はPT APM Auto Components Indonesiaと特殊関係にあります(同社が株式25%を保有)。

  • 所得税法第18条第3項に基づき、税務総局長は特殊関係納税者間の取引について独立企業間価格法・再販売価格法・コストプラス法等を用いて所得・控除額を再決定する権限を有します。

  • 2023年10月17日付評価報告書(LAP-169/KPP.221804/2023)に基づく機能別評価専門家の再評価の結果、控訴申立人が計上した賃借費用は過少であるとして、2019課税年度全体でRp240,572,960.00のマイナス修正(Primary Adjustment)を行いました。

  • このPrimary Adjustmentを各月に按分した結果、2019年3月課税期間において課税標準額Rp20,047,747.00のPPh Final第4条第2項が未徴収であると認定しました。


課税標準額・税額の対比は以下のとおりです。

内容

控訴申立人

被控訴人

修正額

課税標準額

Rp350,877,420

Rp370,925,167

Rp20,047,747

PPh第4条第2項 税額

Rp35,087,742

Rp37,092,517

Rp2,004,775

税額控除

Rp35,087,742

Rp35,087,742

Rp0

未納税額

Rp0

Rp2,004,775

行政制裁

Rp0

Rp875,686

未払税額合計

Rp0

Rp2,880,461


控訴申立人(PT APM Leaf Springs Indonesia)の主張

控訴申立人は、本件PPh Final第4条第2項の修正(Secondary Adjustment)は、法人所得税紛争(紛争番号:002145.15/2025/PP)における売上原価・賃借費用Rp240,572,960.00に対するマイナス修正(Primary Adjustment)に由来するものであり、そのPrimary Adjustmentそのものが不適切である以上、本件Secondary Adjustmentも維持されるべきではないと主張しました。不同意の具体的理由については、2019課税年度法人所得税控訴申立書(番号0004/APMTAX/ALSI/III/2025、2025年3月10日付)に詳細を記載した内容を準用しました。


裁判官合議体の判断

合議体は、本件PPh Final第4条第2項紛争が法人所得税紛争(Primary Adjustment)と不可分に連動するSecondary Adjustmentであることを確認したうえで、以下のとおり判断しました。

  • 本件PPh Final第4条第2項の課税対象修正は、法人所得税における売上原価(賃借費用)修正(Primary Adjustment)に対応するSecondary Adjustmentである点について、双方当事者の間に争いはありません。

  • 法人所得税紛争(売上原価・賃借費用Rp240,572,960.00に対するPrimary Adjustment)については、別件として同合議体が審理・判決を行い、被控訴人の修正は維持できないと判断しました。

  • したがって、当該Primary Adjustmentに基づくSecondary Adjustmentである本件PPh Final第4条第2項の課税対象修正もまた、維持することができません。

法人所得税紛争における判断はmutatis mutandis(必要な変更を加えて)本件に準用されます。


最終決定

税務総局長決定番号KEP-01009/KEB/PJ/WPJ.22/2024(2024年12月13日付)に対する控訴を全面的に認容し、2019年3月課税期間のPPh Final第4条第2項未払税額をRp0.00(ゼロ)と決定しました。

内容

被控訴人による

合議体による取消

合議体による決定

課税標準額

Rp370,925,167

Rp370,925,167

Rp350,877,420

PPh第4条第2項 税額

Rp37,092,517

Rp37,092,517

Rp35,087,742

税額控除

Rp35,087,742

Rp35,087,742

Rp35,087,742

未納税額

Rp2,004,775

Rp2,004,775

Rp0

行政制裁

Rp875,686

Rp875,686

Rp0

未払税額合計

Rp2,880,461

Rp2,880,461

Rp0


控訴申立人が立証に成功した事項

賃料再評価の不適切性: 被控訴人が関連当事者であるPT APM Auto Components Indonesiaとの不動産賃借取引について実施した独立企業間価格に基づく再評価は不適切であり、Primary Adjustmentとしての賃借費用修正は維持できないことを立証しました。


Secondary Adjustmentの連動的取消: Primary Adjustmentが維持できない以上、これを基礎とするPPh Final第4条第2項課税対象のSecondary Adjustmentもまた維持できないことを立証しました。


実務上の意義

インドネシアの法制度は明示的な拘束的先例法理を採用していないものの、本件で論じられた問題関連当事者間賃料の独立企業間価格による再評価と、それに連動するPPh Final第4条第2項のSecondary Adjustmentは、インドネシアで事業を行う多くの日系企業が直面しうる典型的な問題です。本判決はその対処において有益な実務参考事例となります。

コメント


bottom of page